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備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

釣り師と密漁とすなめり

 

 以前釣り場の幽霊の事などを書きましたが、幽霊はただ脅かすだけで危害は加えません、よこしまな人間がやましい事などの心当たりがありますので、驚いて転ぶくらいが関の山、大抵が大事にはいたりません。大概の人はやましい事の一つや二つあるものですから、この世から幽霊がいなくなることなどありません。

 そりゃああなた安心なさい、幽霊よりも生身の人間のほうがよほど怖いもので御座いますから。

 

 

 

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 釣り場と申しますものは時折、幽霊以外のおどろく事態が発生するところでも御座いまして、釣り師もそれは驚いてまいります。

 

 これは聞いた話ですが、磯渡しで沖の磯で釣っておりますとなにやら海面が怪しい雰囲気。何がどうと言う事ではないのですが胸騒ぎに近いものがある。

 

 釣りをしておりますと、この場合とは違いますが、予感めいたものがありまして「喰うぞ!」と魚が掛かるのが分かる時があります。経験から来る潮時が感じられる瞬間だと思うのですが、確かに予知に近いもので御座います。日によって有るときもあれば無いときも有りますので、不思議なものです。 ま、このように予感めいた事が有る時に競馬予想と宝くじ売り場の詮索などがよろしいのかと思う事です。

 

 さて現場、件の釣り師の胸騒ぎは一向に収まってまいりません、そのうち波が無いのに海面がジワリと競りあがってまいりました。

事態を飲み込もうとするのですが、これは理解の範疇からすっかり外れておりまして、只呆然とするしかありません。

潜水艦にしては水深の浅いところで、こんな所にいる訳はありませんし鯨にしては小さい、恐怖の雰囲気が盛り上がるなか、すっかり固まってしまったそうです。

 

 これはすなめりが二頭、目の前に浮上したのに驚いたことらしいのですが、しばらくは動けなかったとのことだ。そりゃぁ誰だって理解の範疇を超えた事態が進行していったら動けぬか、逃げ出しますわ。しかし逃げて真相が分からなかったら、「あれは何だったんだろう?」とこちらのほうが余計怖い事になって、やっぱり固まって運命に身をゆだねるのが正解かも知れません。

 

 

  浪士様もご他聞に漏れず、怖い事に遭遇されています。あれは釣りを覚え立ちころでした。夜釣りで島の磯に渡った時のことで御座います。

 海は穏やか、だが一向に魚は釣れて参りません。海面を見ると何か違和感が・・・

ん?・・・明かりが・・。

海中にある明かりめいたものがだんだんに海面近くに浮き上がってくるような気配です。それは驚きますよ、正体がわからぬのですから。

 

 宇宙人かと思ったのですが、これは空から参ります。はてはこれが地底人かと思うのですが海からですし。あせって理解しようとするのですが一向に心当たりがありません。

駄目だ理解できないとあきらめた時点で、恐怖が一気に襲ってまいりまして金縛り。

 

 一つ目の光る物体が海中からゆらりとこちらに向かいます。浮上とともに余裕の無いこちらは、とりあえず竿で叩いて参ります。

 

 当時出始めであったカーボン製の竿を振り回します、かなり高価な竿ですが、この頃のカーボン穂先は衝撃に弱くよく折れた。なにはともあれ怖さの後押しで、程よく竿は折れております。

 

 

 それは双方が驚いたことで ・・

「浮き上がったらいきなり叩かれて、何が起こったか見当がつかなんだ・・びっくりしたあ・・」

お互い手打ちのビールを飲みながら、その密猟者は安どの表情です。

 

 密猟者によると、ここいらを漁場に夜間潜ってあわびやサザエを獲るのだそうだ。潮の流れに気をつけないと危ない目に合うそうだが、ひと夏の漁でまあその年食えるらしいので身入りの方はよさそうげである。

 

 ビールの礼にと気恥ずかしげに呉れたサザエを数個袋に入れたのだが、これから朝まで、はて することが無い・・・・