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備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

町内広域連合軍 対 レジスタンスと野良猫

 

 

 近所で顔を合わす、「落とし込み」という釣りをなさる方と世間話などをしております。

この方は松永湾の貯木場を主に漁場になさる方で、スタイルと場所を殆んど変えられません。時折連れ立って遠征などはなさるようですが、律儀にかたくなに、同じ釣り場で落とし込み一本なのです。

 

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「落とし込み」と言う釣りは堤防などで餌をつけた仕掛けをゆるりと上から落とし込んでまいります。魚と言いますのは上から落ちてくる餌にいたって弱いものですから、その痛いところを突いて、釣ってまいると言う手はずになっています。

 

 貯木場は魚の溜まる所で、格好の釣り場なのですがちょっとした臭いが魚に付いて私などはどうもいけません。気になさらない方にとっては、よい釣り場なもので大勢の人でにぎわいます。

 

 

 その落とし込みさんの言うに

「このごろ町内会で野良猫退治の話が出て、どうも罠を仕掛けて捕まえるらしい」

「可哀想だと言う意見も有ったそうだが、どうもやるらしいぞ。可哀想だと言う人には捕まえた猫は動物愛護センターに持っていくから大丈夫だと言いくるめたらしい」

なのだそうだ。

 

 

 動物愛護センターとは名ばかりの「言い訳虐殺センター」などに、さして悪さもしない猫を殺させるのは忍びないと、話はすぐまとまった事だ。釣り師は日頃殺生を繰り返しているのだが、余分の殺生などはいたしません。

一般の釣り人は釣れた物は大概殺生に及びます。職漁師は捕まえたものは容赦はしません。釣り師は狙いのものだけ、それでも殺生をするに幾ばくかの 後ろめたさは感じておるもので御座います。そこに猫退治の話だ。家の軒下の子猫など何の屈託もなく遊んでいる。

 

 魚の目といいますものは、あまり白目の部分が御座いませんで、つまり人間で言う無垢でつぶらな瞳をしております。釣り上げた魚を絞める時には仏心の一つや二つは抱くもので御座います。

 

「助けるか!」  話はまとまってまいります。

 

 

 町内広域連合軍は、そうは言いましても軍事力は強大です。なにしろ大人数の上、武器である罠と言いましても数が御座います。それは作戦を立てることでした。

 

 釣り師の側と言いますと二人ですから、多勢に無勢、正面からの攻撃などとても無理な事です。抵抗勢力レジスタンスとしては、ここはゲリラ作戦しかありません。日頃、魚相手に戦略を練りなれておりますから、話のまとまりようは早いのです。

 

 

 戦略は隠密裏のゲリラ戦、町内の中で人間関係が気まずくなってはいけませんから敵に悟られてはなりません。罠の籠には餌が仕掛けて有りますから猫にこれを食わさない、籠に近寄らせない、これだ!

 

 まずは野良猫が腹をすかして罠の餌を食べてはいけませんから、二人して思い切り猫に食い物をやります。時間がたった罠の餌など誰が喰いましょうや。

 それから暗闇にまぎれて罠の周りにぐるりと廃オイルで輪を描きます。臭い立つ罠に誰が近寄りますか。

 

町内会 「おはよう御座います」

ゲリラ 「おはよう、猫が入りませんなあ?」

町内会 「前回やった時はそこそこ入ったんですがなあ、どうしたことか?」

ゲリラ 「どの罠にもかかりませんか?」

町内会 「いけません・・・・・」

 

余程「またたび」でも入れんかいと教えてやろうかと思ったんだが、己の頭で考えませんと、ほんとの実力は付いてまいりませんから、泣く泣く見放してやる事だ。

 

 

さて、連合軍、次はどの手を打ってくるか高みの見物と、そ知らぬ顔だ・・・