備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

釣具の自作  作ればいいってもんじゃあ有りません。 一寸足りない勘所

 

 

 

 浪士様と申しますと相も変わらず、釣り場で釣り呆けております。

釣り以外のことは無いのかい?と申されますが、そう世のなか器用には渡らせてはいただけませんもので、それは不器用な世渡りと言う事で収まってまいります。

とるすべも無く釣りということに相成って参るわけでございます。

 

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  世の中には何事も器用にこなす人が有って、下は、両手でスマホをいじれるおねえちゃんから、上は、今日の約束は明日の裏切りの政治家の方々まで、実に巧みな世渡りで御座います。

 

釣りの世界でも実に多様に器用に立ち回りの効く方が御座いまして、いえいえ竿を数本出してそれを操るとかと言う事では御座いませんで、今日は鮎、明日は鯛とかということで御座います。

 

 魚種によって、それも川と海とでは随分と違ってまいりまして、それぞれ年季の入るところで御座います。

 

 浪士様なども鮎など追ってみたいものだとは、お考えに成った事が御座いますが、いかんせん4~5年は年季奉公ということに成りますと、寄る年波で指を折るということに成って参ります。

 

 さる零細企業の社長さん、この方は向っ気の強い方で他人に作れるものぐらい自分に出来ぬ事は無いとばかりに、少々な物は自分で作ってしまいます。

出来の良かったのは?、「打ち抜き」と言って地中に鉄パイプを打ち込みます。深さは水脈に出くわすまで。 その水脈の水をポンプで汲み上げて冷房用の水に使うと言うものです。

これはかなり優秀なものでよく冷えておりました。ただ奥方が眉をひそめるのは音と電気代と言う事で、男の夢と女の現実と言う摩擦熱は発生しておりました。一部設計ミスです。温度は?ですか、よそ様の事で御座いますからいかなる温度であったか等知るよしもありませんし,温度差の解消をどうなさったかなど口出しのできることではありません。

 

 この方よせばいいのに釣りに手を付て参ります、これが手の付けられぬぐらいに、のめり込んだ挙句、例のあの病気が出てまいりまして、道具一式作り始めます。この方の凝り様は加工工具まで自作したいと思うところで、それは結構なのですが、釣り場に赴いても紙に描いたた図面と思しき計画図を説明したがります。結構な独りよがりの押し付けと成ってまいりまして、皆と目線の会わぬことと成って参ります。

普通の釣り師はそんなめんどくさい事はいたしません。メーカー品を購入してちょいと修正すれば済むからです。事は簡単、簡単。

 

 そうこうする内に誇らしげに自作道具を持ち込んだ零細企業は事細かに道具立てを説明いたします。

「社長!わかったわかった、あんたの言いたいことは良~くわかった。あんたの言ったことそのまま繰り返していえるほど良~くわかった。 だがな先生道具と言うやつは実際使って見なければ良し悪しはわからねえ、まあそういうこった」

 

 零細企業の自作したものはよく見ますと、それなりに嵩がかさんで大きい。それなりに機能は発揮するが少々問題の箇所がある。それなりに安く上がりそうだがだれも作ってもらおうなどとは思わない。   とまあ落としどころはこうなります。

 

 それはだれの眼にも見た瞬間から分かった事でした。零細企業さんは釣りの腕を上げなければ、いくら凝ったところでろくなものは作れません。竿を作る趣味と魚を釣る趣味は趣味が違います。その辺が一寸行き違うとよく似た偽者しか出来ません。

 

  向っ気の人だ,もう次の図面を仕上げているに違いない、こちらは当分話題を逸らす術を研究しておかなければ。

 

 

 

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