人の振り等見て我が振りを点検する釣り師
どちら様におきましても、美味しいものというのはお好きで御座いまして、これが嫌いなどとおっしゃる方は御座いません。
たまにいたとしても、世の中から振り向いて欲しい方便で御座いますから、やはり美味しいものはどんな天邪鬼でも好きなのです。
釣り師は新鮮な魚が口に入ってさぞかし口が奢っておるだろう等と申される事が御座いますが、あながちそうばかりとは限りません。
と申しますのは、釣ったばかりの魚を絞めます、これも絞め方によって味や鮮度に影響が出てまいります。
適度に絞めた魚で御座いますが、調理の仕方によってはとても人様の口に入るのがおこがましい事となりまして、顔がゆがむ事です。
確かに釣ったばかりの魚がまずいわけはありませんが、後処理によっては美味くもまずくも成るものですから、それは隙間無く気をまわさなければ成りません。
魚を絞める、下処理をする、調理をする段に成りますと、これは刃物を使うということに成ります。何やらに刃物と昔から言われておりますように、使う人によっては社会の迷惑からとんでもないご馳走まで幅広く化けるもので御座います。
良くも悪くも人次第ということで御座いますが、どちらにせよ切れなければ、鋭くなければその用を果たしません。
釣り師などといいますものは、釣りには腐心いたしますが、釣り終えた後の事などあまり執着いたしませんで、調理は人任せの刃物はおざなりと言う方が多いもので御座います。と言います事から釣り師は確かに新鮮な魚は食べてはいるが、美味しい料理を食べているかと言うと、そういうものでもありません。
うまく釣って下処理も万全、その上調理にも細心の注意を払ってこそ、うまい魚を食べていると言う事になります。一連の流れがよどみなくこなされなければ「猫またぎ」と称される煮ても焼いても食えぬ、出来た時点の残飯と相成るわけで御座います。
さて今回は刃物の「研ぎ」について書こうと思ったのですが、これが写真を撮る暇が御座いません。釣りのあれこれに手間取って、そのうえ覚え始めの釣り師が、それこそあれこれに手間を取らせますから、わずらわしい事になった次第です。
釣りの番組を観ております。以前女性の出演者が付け爪に錆びた鋏を。使用しておりました。高名な方でその業界では行く手をさえぎるものなど無い人気の有る方です。
これはこの方ここまでかなと思った次第なのです。釣りはこれでもかと言うぐらい、隙など作ってはいけません。忙しい方ですので準備がおぼつかなかったのか、スタッフの準備不足なのかは分かりませんが、これでは見世物ではありませんし、こんな隙に魚は必ず付け込んでまいるものです。
今日の番組では、これもいけません振り回す刃物が錆びております。
安手の出し物など世に氾濫しておりますが、安易な作りようからは何も得るものは御座いませんし、伝わってくるものなどかけらも無い事です。
と、書き記したところで今日は道具などを人様に見られぬように確認しようと思ったところだ。