備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

 釣り師は釣り師であって猟師ではありません。 釣り師に神は味方するのか!

 

 

 

  秋祭りと言う事で有りまして、何処もかしこも賑わいだって参ります。

神様にも縄張りとかいう、かなり穏やかでない決まりごとなどあるものでして、「ここはわしの陣地じゃ」とばかりに縄を張ってまいりまして、およそ神様の仕業とは思えぬ振る舞いをあちこち印すもので御座います。

 

 

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 神社の鳥居は犬にとって格好のマーキングの場所でして、心置きなく印を付けてまいります。

犬の所業を見ておりますと、これが神様の縄張り行為と同じ様なものでありまして、己がテリトリーを頑なに主張してまいります。

はては神様は犬並みなのかと、思っても思ってはいけません。

 

 浪士様も以前は祭りの役など廻ってきまして、コケの生えた長老などにいいようにこき使われておりました。

これが有る時を境に一変してまいります。大体 町内会の役回りがそのまま横滑りでお祭りの下部と成りましてあれこれ世話を焼いてまいります。

丁度町内会の衛生担当で御座いました時に事件が起きます。この件は以前書いたかどうか記憶があいまいです手短に・・。

 

 「衛生のほうで役所から檻を借りてきて最近増えた野良犬を退治して欲しい」

集会の席でひな壇に並んだ町内会幹部がこういいます。野犬狩りだと! このような時は間髪入れずに攻勢にでねばなりません。

 

「一寸聞き捨て成らぬ事をおっしゃったが、衛生のほうで野犬狩りなど出来かねますな、大体素人の集まりに危険極まりない事をやれとおっしゃる、もしもの事故などの時保険に入っておられるのかな? ええ? ほら入って無いでしょう。やれといわれればやりましょう、だがね事故が起こったときは幹部の保障がいる。今から家に帰って実印を持ってきなさいや、保障の契約書に一人連帯保証人をつけてもらおうか、それが嫌なら幹部自ら手本など見せて貰おうかい」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「素人にこのような無体な事をおっしゃる、事を分けて話せばだんまり、余りにだらしの無い事じゃあありませんかい? 経験が有れば請負もしましょう、だがねあいにく誰もたしなんだ者はおりません、おまけに私しゃあ釣り師だ・・猟師なんぞじゃあありません。こんなこたぁ本手筋に頼むのが常道じゃあ御座いませんかい?  気にいらなんだら村八分の一つや二つ甘んじて受けましょう。10数える間に決めてくれ!」

とまあ大きな声を一寸ばかり出して退席したところです。

 

 幹部連中を快く思っていなかった人も大勢おられて、翌日からとりなしやら懐柔にこられることです。結局役所に依頼する事と成りまして、どうなったか後のことは知りませんが猟師にならずにこれは済んだ。

 

 それからですな町内の形勢が一変しまして・・

「浪士さん今年の祭りの役回りはこれこれお願いいたします」

「よしよし分かった、あんたらいいように始末を付けといてくれ、くれぐれも神様に失礼など有ってはいかん、粗相の無いよう努めてくれ。わしは漁業じゃでのお」

「はい分かりました!」

 

天気は良し・潮の廻りも良し、誰が好き好んで神様の世話などしておられましょうか、釣り師には海での祭りが待っております。

 

 なあに、夕刻に成りましたら、たこの刺身に魚の刺身、皿に盛って差し入れりゃあ事は済むのですから、神様に対してお努めなどそれぞれ持分が有る事です。

元来祭事など何月何日と決まっておったものですが、最近では祭日休日に執り行うようになって神様もかなり譲歩していることです。何の遠慮がありましょうや。

 

 このような事でありますから、釣りや宝くじに神様の恩恵はまだ受けられずにおります。

 

 

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