備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

最強のタックル  釣り師悩む

 初心者にありがちなのだが、いたずらに強い太い大きいタックルを持つ人がいる。 貴方ねえ加減と言うものがあるんだ。なんでも大は小を兼ねるかというとこと釣りに関してはそうはいかねえ。まぐろの一本釣り仕掛けでチヌ狙いなんて事は、はなから成立しません。

 

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           渡船場にて  不気味なくらい静か

 

 

 

 

 

 

 せっかく掛けた魚を取り逃がしたくない。分かります、誰でもそうですから。「よし、太いラインで切られるのを防ごう」間違いじゃあありません。でもそれによって不都合が出てまいります。潮にラインが押され、餌なんか簡単に浮き上がってしまう。自分の餌がどの位置にあるか分からんで釣りは組み立てられません。

 

 そこは細めのラインでやり取りでかわす、腕のよしあしはラインの太さなのです。私どもの釣りスタイルは1M30センチばかりの短竿で、いきおい自分の腕も目一杯使わなければ魚とのやり取りはできません。腕も竿の能力なのです。腕でラインの細さをカバーし、腕の長さで竿の短さをカバーします。

 

 釣り師の道具といいますものは最強の道具を揃えたいと思うものですが、「切れないライン、折れない竿、絶対どんなものでも貫通して折れない針」とか有ったら理想のタックルだな、とまあ一見理想です。でもこれは大層悲劇的なことす。

 

 どう悲劇的かといいますと、根掛りをした場合どうにも動きが取れなくなるのです。 地球に貫通した針はどんなに引っ張っても曲がらないし、ラインは絶対切れません。戦車に引っ張らした竿はどうしても折れないのですから、このタックルは放棄するしかないのです。こんなタックルで漁船や潜水艦を引っ掛けたら、それこそどうにも動きの取れぬ、悲劇としか言いようの無いことと成ってしまいます。

 

 道具のそれぞれ、可能な限り能力の限界ぎりぎりのところを使って、魚とのやり取り。 魚とのせめぎあいは実に薄氷を踏む行為なのです。

 

 どうにも魚が強い場合、意図した魚で無い場合、早々と見切りをつけます。 根掛りがどうにも外れない場合も見切りをつけます。 どう見切るか・・   仕掛けの中に弱い部分を意識的に作ります。ほとんどの場合結び目のところで切れるようにします。こうすれば針の消耗だけで済みますから、消耗は最小限に抑えられるのです。  

 

 最強のタックルは弱さも兼ね備えているものなのです。