備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

釣り師と棍棒!

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はい! そこのあんた、一寸こっち来てごらん!

 

 あんた自分の最期、棍棒で「ぼこっ!」と殴られて死にたいかい?

「そりゃあ一寸ご勘弁を!」そうだろう、誰だってそうだ。できる事なら、おごそかに上品にと思うはずだ。棍棒なんかで逝かされた日にゃあ寝覚めの悪いこと請け合いだ。

もっとも逝っちまったら再び目覚めることもないんでやんすがね。

 

  誰が気づいたのか知りませんが、魚を釣るとすぐに絞めます。これを活き絞めといって、悶絶死させることなく、即死させることによって、食味や鮮度を保たせます。目とエラの上部の中間あたりに刃物を入れ延髄まで到達させます。この後血抜きを施して完了です。これの上級の処置が神経絞めといって、魚の眉間から尾の辺りまで、骨の上部にある髄液の通う穴に針金を差し入れます。こうすると隋液が出てより、鮮度と食味が保たれます。神経絞めはよほど高級な魚にしか施されません。 さばなどの大量に取れる魚はいちいちこの処置が施されませんから、頭と胴体をへし折ります。これを世に言うさば折といいます。

 魚屋さんなどで外見同じような魚なのにやけに高いものに出くわす事があります。これは絞めの施されたものと、刺し網などで狂い死にしたものとの差が出ているのです。釣りものと表示されているものが一番高く、底引き等で獲った魚とでは値段が倍半違ってきます。

 

 さて物騒な話はさておいて、より物騒な話を。わが国では、おおむねこの絞めるという作業を刃物で行っていますが、所が変わると品物が変わってきます。イギリス辺りではもっぱら棍棒でぶん殴っておるらしいのです。紳士は何処が産地であったか忘れたが、なんとも情緒のかけらも無い話です。 ご念の入ったことに、この棍棒、普通に釣具店で売っているというから伝統、文化と呼ぶものでしょう。

 

 

 

 こともあろうに浪士様の横。1Mばっかりのところに釣り糸をたれた奴がおりましてな。浪士様の釣りは 撒き餌の飼い付け釣り、それは苦労してポイントを作ってまいったのです。それは目端の利いた魚が釣れました。 見たんだな、それを。

 

 いきなり、親しげに横に来ると、距離感喪失男は釣りはじめるでは無いか。口は半開きだ。人の寄せた魚を、何の苦労も無く、釣ろってのはどういう料簡だい!

 

 やいこら、親しげに近寄るんじゃあねえ、こちとら家族に、親戚、友人に悪い友達、充分に足り取るわい。人の畑で大根抜こってのは、十年早いわい。 

 

 浪士様は上品ですから、事を分けて話してやります。いかに図々しい行為かと言うことをね。 そのうちそいつの糸とお祭り騒ぎに。分かった風なら我慢もしますがそいつは理解できないらしい。 弱そうだったので、一括してやりましたわ!

 

 所が変わって、常識が違ってくるのは分かるのだが、狭い国で常識とマナーが可笑しくなるのはいたたまれない事で御座います。かく成る上は絞めてやりましょうか。 

 

 それも棍棒に分からせるのがよろしいようで!