備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

魚はその日に寸法を変える!

 世の中は分かったようで、その実いかほども分かっていないことのほうが多いものでご座います。

 

 魚と申しますものも、まことに不思議なものでして、釣り師の一部の方は心当たりのあることでしょうが、釣り上げられた後、刻々とその寸法を変えてまいります。いえいえ、小さい魚がその日のうちに成長してと言うわけではないのです。ええ、その日のうちに大きさを変えると言う事なんで。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

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        細かく釣りをするにはこんなものまで入用です 

 

 

 釣りを始めて少々の経験などが出来てまいりますと、魚を掛けた瞬間にはその大きさが大体わかるようになってきます。その後魚の引き方で種類も分かってくるようになります。特段特殊な能力がいるわけではありませんで、経験からどなたでも分かるようになるものです。

 

 さて魚が寸法を変えてくるのはここからです。掛けた魚がゆらりと水中に見え始めますと、欲目も手伝って大層大きく見えます。実にでかく感じるのです。海水がレンズの役割でも果すんですかね。

 

 手にした魚はスカリ(魚を生かしておくための網)に入れます。釣り上げた興奮が少しさめた状態でこれを見ますと、心なしか小さいかなと思い始めます。もっとでかかったはずでは・・

 

 釣った魚は下処理など施しまして、持ち帰ります。これを三枚におろすかと言う段になりますと、あれあれ、こんなに小さかったか? ああ消費税分税務署に取られたから、それで小さくなったかと、仕方なく思ってまいります。

 

 私は採りませんが魚拓を採られる方は、又寸法が少々大きくなると言いますから魚のほんとの寸法など誰も言い当てられないのかもしれません。

 

 

 さ~て、これまでは魚の見かけの寸法を含め変化したのですが、これからは人間がその寸法を変えてまいります。

 

 釣り大会などでは、以前釣った大物をクーラーに忍ばせて優勝を狙う剛の者があらわれるといいます。うろこはあちこち剥がれ、少々においたつものを差し出すと言いますから、これはれっきとした犯罪です。

 

 上には上、剛の者の上には更なる剛の者がおりまして、この手合いは魚を引っ張ってまいります。 よほど寸法を稼ぎたいんでしょうなあ。 この頃になりますと、魚は元の形は崩れて新種の魚の誕生となるわけです。 ひどいことをするもんです。

 

 およそ釣り師の考えることは、これくらいの単純なごまかしよう具合のことで、他愛ないと言えば他愛の無い事でございます。

 

 

 この後、釣り自慢をするときには、実際より両手の幅は広がって大きさを自慢しますから、魚の本当の寸法など分かりようの無いことなのです。