さてどうやって仕返しをするか 負けた釣り師は考える
久しぶりの泊り込み遠征と洒落込んだのですが、これはいけません。
思い込みなどこちらの都合と言います事で、思いっきり外れて参りまして、綺麗さっぱり惨敗で御座いました。
メバルの写真をと思いは致したのですが、いかんせん釣れるのは10センチ足らずの小型ばかりが山のように釣れまして、退屈はしないもののこれでは思惑の釣りではありません。
相談がまとまりましたのは水温が下がりまして、回遊する大型のメバルがそろそろ釣れるだろうということで、さて何処に行くかということに成って参ります。
同行者の一人が、昨年行った島の防波堤が条件も整っております事で、実績も有るし「絶対釣れる!」と言います。
言ってしまいましたねえ、釣り師にとっての禁句を。
釣りなどと言いますのは、いかに条件がよろしくてもからっきし魚の影が見えないと言う事はしょっちゅうで有りまして、「絶対」などという事は絶対に御座いません。
まあそこまで強気で言うなら乗ろうということで、一向6名夢を見るので御座います。
島の防波堤は船着場から2百Mばかり伸びておりまして、ここを着いた当日とその夜、そして翌日釣りまして一泊、日中釣って帰還という手はずです。
防波堤を流離って参ります。次こそは狙いの型が出るだろうと期待はするものの出るのは木っ端グレとちびメバルばかり。あらゆる手立てで攻めますものの一向に目あての魚は釣れません。
気力が充実しておりますのは最初ばかりの事で、自然から手痛い仕打ちを受け続けて参りますと、朝方には青菜に塩の釣り師がくたびれ果てて、亡霊のように流離っております。こんなものはとてもお見せできる様な代物ではありません。
とまあこのような顛末でありまして、あれほど隙の無い釣りをする面々、翌日は早々と民宿に転がり込みます。
「釣れたかな?あそこの防波堤は千やんが刺し網を巻いとったがなあ・・」
民宿の親父がこういいます。 普段なら気の効いた殺意などすぐ沸くところですが、気力の無い釣り師にとっては上の空、これはもういけません負け戦です。
見切りの付いた釣り師、翌日は釣りもしません。早々に引き上げる事ですが、中にはあきらめきれぬ者もおりまして、本土に着いて2名ばっかり、漁港の波止に向かってまいります。 落ち目の釣り師にいい風など吹く訳もありませんで、しっかり返り討ちに合っております。それにしてもあくなき執着心には、恐れが入るところと成って参ります。
後日です、電話のやり取りをしてまいります。口々に水温があと1度下がったら、あと一潮廻ったら、等々 あの防波堤を攻略する手立てを考え始めております。中には固く復讐を誓う者など有って、打ちひしがれておりましてもすぐさま立ち直るのですから、釣りに対する生命力の逞しさにはおののくので御座います。
さて、どうやって借りを返すか考える事だ。