備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

釣り師も驚く「神ってる」ドラッグストアーの販売員!

 

 

 釣り師仲間にも凄腕と言われる一種「神ってる」と言われるやつがおりますもので、「あの野朗!・・」と半ば敬遠されながらも神がかった技を認められるところで御座います。

 

 凄腕の中の凄腕と言いますのは、独自の技や着想を繰り出すもので、なかなかに凡人には真似のできぬ存在で御座いまして、頭の一つや二つとっくに飛び出した上に、楊枝咥えて鼻歌など歌っておりますから始末に負えません。ま、それぐらいの高みで釣りなどこなすところで御座います。

 

 

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 「うちの店、粗利の高い新製品の売り上げはいつも一番なんよ!」

唐突に放たれた何気ない話の後段が、世にも恐ろしい話しに繋がろうなどとは、夢にも思わぬことで御座いました。

 

  さるドラッグストアーに勤める人から聞き及んだところによると、かの店では粗利が高い、つまり儲かる新製品の売り上げがいつも一番だと言うので御座います。

 

創った薬品会社も販売するお店もこの上なく喜ばしい事で、又販売員も褒められるところとなって、それはめでたいことで御座います。

 

 「凄腕の販売員がおるんよ・・・」

と言いますから、何処がどうすごいのかと言う事と成って参ります。

 

凄腕「あらお爺さん、今日は何を買いに来たん?」

爺 「自動食器洗い機の洗剤じゃがの・・ありゃんすかいのお」

凄腕「ありますけど・・お爺さんちょっと足が悪くなったんじゃない、洗剤もいいけど 

   足から老化は始まって段々上半身が自由が利かなくなるよ、そうなって食器洗い

   器もないもんだわねえ。一番は足よ」

 

当たり前で御座います。年取ったらだれでも足が若いようには参りません、状態なんぞは変わってきております。何が何でも足が悪い事に成って参ります。とにかく足のほうは悪くは無くても悪い事になってまいりまして、凄腕は食器を洗う前に足が不自由に成ってからでは何も出来なくなる、まずはコンドロイチンの購入が、いかに余生にとって重要か事細かに説明するところです。

 爺さん、それは若い頃に比べたら衰えないほうがおかしいと言うところで、凄腕は爺さんに比べれば若いご婦人、それもめったには相手にしてもらえぬ人種と有って、華やいで参ります。

爺さん、華やいだわずかばかりの下心が9割、足の不安が1割と落としどころが決まったところで、 目出度く1万円なりのコンドロイチンをお買い上げです。

 

凄腕「あの爺さんは絶対又来る・・」

 

当たり前で御座います。爺さんは洗剤を買いに来たのですから、買い忘れたものを買いに来るのは当たり前です。

 

 この時点で被害者は出ておりません。強いてあげれば洗剤を買いにやったのに、コンドロイチンを買って来られた婆さんと言うところでしょうが、これとて足には少々不安が出るところでして、爺さんが手に入れたコンドロイチンを密かに試そうかなどと思うのですから、爺さんも油断は出来ません。

 

凄腕「あらお爺さん今日は何を買いに来たん?」

爺 「こないだ買い忘れた自動食器洗い器の洗剤・・あるかのう・?」

 

 ここからが凄腕のすごいところで御座いまして、洗剤を売ります。そしてもう一つ

「お爺さんこれは絶対買っておいて、食器洗い器は機械でどうしても洗い残しが出るの100円のクリーナーで安心・・」「今日はこれ以外のものは買っちゃだめです。欲しい物は特売日に買って、無駄使いはやめてコンドロイチンに回しましょう。これからは足の健康が第一ですからね」いやが応にも信用度は増して参ります。無駄なものは買わせない、高いものは買わせる、親切に気をほだされた爺さんは、とどめを指されて目出度く「特定高額商品定期購入者」と成ったのでした。

ここまで粛々と客を追い込んで一丁上がり、実に見事なお手並みで御座います。

爺さんは衰えの恐怖から、販売員は顧客獲得の実績作りから、それは真剣に事は進んだ事でした。

 

 

 はて、この話を聞いて心穏やかでないのは釣り師で御座います。この手順で釣りを組み立てられたらえらい事です。あっという間の手だれに成って参ります。

自分の釣り座の横に漁業組合丸ごと座られるなんざあ、あんまりいただけたものでは御座いません。

 

 能力や才能ある者は早めに潰すか、釣りに興味を持たせぬ事だ。

まずはコンドロイチンでも買いに行ってどんな奴か見てみるか。

 

 

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