備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

竿師に成った釣り師の 「エビすくいタモ」 その4

 

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さて最後に紹介するのは「エビすくいタモ」です。

エビを生かしておいたクーラーから、このタモでエビを小出しにして使います。

 材料は篠竹の細いものを使います。全長が40センチばかりの物ですから、細身の竹ということに成ります。

この矢竹とも言うのですが、どうも色々種類が有るらしく、同じ細さでも強度が違っておりました。今年の冬はしっかり確かめねば成らない事です。

 

 先日来客があって、その方 「らんちゅう」の世界では全日本のチャンピオンを2回お取りに成った浅やんだ、その世界では知られた方で、フリーペーパーでそれこそ「らんちゅう」を発行する編集長だ。その向きは無調法なもので、門外漢なのですが出るところに出ると天皇様らしい。

 

 エビすくいタモを見て、一本くれと言う事でしたので差し上げたところだが、10万匹生まれる「らんちゅう」の中から良いのを選んで最後数匹まで絞り込む眼力の天皇だ、一番差し上げたくない出来のいいのを選ぶのですから、審美眼とはこう言うものかとまざまざ見せられた事だ。

 

 このタモにも漆がほどこしてあって、様々塗りの技法は凝らしています。

研ぎ出し、蒔絵も試したところだが思うようには参りません。

黒に彩色したものは、朧月夜の波しぶきに江戸小紋の千鳥をあしらったところだが、暗闇に千鳥が飛ぶのかどうかは分からない。

口さがない釣り仲間はカラスのサーカスかと言いますから、何処までも品の無い事です。

 

 漆を使うところですが、日本産の本漆では御座いませんで、カシューと言う(西洋漆)を使いました。

これはあのカシュウナッツの殻から取れるあぶら成分が漆と同じものですからこれから漆を作り上げたものです。この漆は安手であることと日本産では必ずある「かぶれる」と言う事がありません。

江戸和竿の職人は日本産のかぶれる漆、これを素手で扱いますから免疫などしっかり出来ているのだと思います。素人には今のところ西洋漆で充分です。

素人の中にも、国産漆でかぶれた奴がおりまして、何気なく小用を足したところ、こんかぎり不幸な事となっておりました。

これに使った網は釣具店で100円ばかりの中国産ではないかと思われる既製品から部品取りをしたものです。

まとめて10本ほど買い求めたものですが、どこにどうして使うのかと怪訝そうな顔つきで上から下まで眺められたものです。

再度釣具店を訪れますと、ごっそり仕入れて有りましたが、そうそう売れるものでも無いので悪い事をしたなと思うことです。

 

 この冬、材料の竹を手に入れる算段は出来たところで、変化をつけて、焼印なども押せたらと考えています。

 

 本手の職人が一日で出来るのなら、30日もかければそこそこにはいくだろうとの目論見でしたが、そうはうまくいきません。しかし改善の余地など目処の建つことですから、物事は経験してみなければ分からぬ事です。これで竿師のシリーズはお仕舞いです。 新作が今年の冬出来上がりましたら紹介します。

 

しかしそんなに作ってどうするのでしょうか。

 まだ馬鹿につける薬は発売されていない。

 

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