備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

墓暴きの久良さんは 「このブログは新手のプロレタリア文学の匂いがする」と言うのだ!

 

 

 

 のっけから墓を暴くなどと、およそ世間様では怪訝な顔つきでみられる、それこそ神をも恐れぬ、その上天に唾する傍若無人な事で御座いまして、これに手を付ける者などといいますのは、いかに好き物といえどもめったに出会えるものでは御座いません。

 

 

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 久良さんは長くデザイン関係に携わった人で、こちら福山では結構知る人が多い。

広告代理店を経営して、早くからタウン誌を発行するなど社会の先取りをしたし、行政に働きかけて福山を「ばらの街」にしようと企てたのも彼の仕業という事になる。

 

 中肉中背でやや小柄な彼は片方の肺がない。癌で摘出したのでいまは文字通りの片肺飛行ということである。

 

 この久良さんがひょんなことから「墓暴き」と言う趣味に取り付かれてまいりまして、「また途方もない事をはなえて」と世間を姦しくするので御座います。

 

 墓を暴くのにはそれなりの理由が合った事で、病後生まれ育ったところに引き込みます。何やかやで目出度く田舎の神社の役員に出世いたします。

そこまでは何のことは御座いません、いたって普通にある事で御座いますが、このようなところにこそ事件は潜んでおるので御座います。

 

 神社は古く傾き加減、どうやら古墳も側にあるところでこれも天井の石が割れかけております。県か市の文化財らしく「これは市の予算で修理してもらおう」と話がまとまるのは訳もない事で御座いまして、市との交渉事は経験者の久良さんにということに成るのも訳はない事に成って参ります。

 

 

 遺跡のようであるが遺跡とは、はっきり言わぬお役人さんは「神社の修理は町内でも費用を出してもらえれば・・・古墳の石は・・・どうやらこうやら・・」

当たり前で御座います。昔から海上と陸路の交通の要所ですから市内あちこちに遺跡だらけ、遺跡と分かれば調査しなければ成りませんからいまでも市内は穴だらけのその上ここも調査が要ると成っては人も予算も・・・良く理解できます。

しかし困るのは町内の衆、寄ってたかって策をめぐらして参ります。

 

 手強いお役人様には一筋縄ではいかぬところ、外堀から攻めて参ります。農作業の傍ら土を掘り返しておりますと・・出た・・土器のかけらがです。昔から農作業中には良く出ていたんだそうで、意識的に偶然出てまいります。

「出た出た土器が出た・・遺跡じゃ土器じゃ」と騒ぎます。マスコミに政治家に出た出たと告げ口をするのですから、遺跡のようであるのが遺跡となって調査が始まります。

 

 久良さんはこの発掘途中に目覚めてまいります。神社に係わるようになって知識も増したところで、おや!この古墳は六角形だか八角形だかで、権力者に近いではないか、まさかこの様な所にということで近在の古墳を調べますと、同様な古墳が数ある事が分かります。

 

 元来「吉備の国」と呼ばれるのは岡山県辺りではないかという事に成っておりまして、どちら様も納得して折り合いがついているところですが、久良さんの言うには古墳の分布から言うと福山の神辺町辺りではないかと言うのである。

つまり吉備の国はここ福山の神辺町辺りだと言うのである。

この珍説と言いますか新説を思い至るところで、もう後戻りは出来ません。ここに立派な墓暴きを趣味とした人格が形成され、またまた世間をやかましくさせるのです。

 

 

 「あんたのブログは新手のプロレタリア文学の匂いがする」と言う久良さんは、若い頃こちらで演劇に係わっていたそうで、その時の雰囲気からそう思わせるらしい。

 

ここで大事なのは「文学」と言い放った事で御座いまして、ほほうこれで文士かなどと色気を出したのはいいのですが、これは一時の事 どう考えても釣り師の戯言など文学とこれほどかけ離れているものも御座いません。

 

 成るほどこのブログには確かに権力や財力、それに高名な方など登場はいたしません、名も無く貧しくそれなりな人しか登場はいたしませんし、権力財力高名ときましたらそれはよっぽどよこしまな事をしなければ手に入らぬものでしょうから、端から興味の無いところ、面白くもなんともありません。

 

なんと申しましても面白いのは名もなき市井の人の喜怒哀楽、哀しいばかりの悲哀と申しますのが面白いところ、どちら様にも心当たりがあるところでそこに寄りかかろうとさもしく成り立っているので御座います。

 

 今まで登場した人はすべからくプロレタリアートと言う事になるようで御座いまして、これからはおおっぴらにプロレタリア・ブログと洒落込もうかなどと思うことだが・・・

 

 どうみても「蟹工船」とはかけ離れている。  

 

 

 

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