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備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

釣り師 「桃尻釣法」に出合う!

 釣り師の一人一人は同じ様な事をしているようで、微妙に違ってまいります。

これが大きく変わりますと、釣れるか釣れぬか、まるで丁半ばくちの趣となってまいりまして大層な開きが出てくるものです。

 

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                懐かしい車 福山自動車時計博物館 所蔵

 

 釣りは教える専門的なところはありませんので、各自、在り様で工夫してまいりますから、癖といいますものは出やすいもので御座います。

 

 釣り師が10人居りますと10の釣法がありまして,まさに十人十色です。少々の違いなど平穏無事、何の行き違いなどありましょうか、収まりは付いております。

これが大層な違いと成りますと、ややこしい事に成りまして、大勢の人に首をかしげさす事に繋がってまいりますから、随分人騒がせなことです。

 

 さる釣り師、顔は良く見かけるが挨拶程度で親しく話す間柄ではない。他の人もあまり親しそうにはしていない。釣り場ではお互いの釣り方や、人との関わり方にあまり踏み込みません。たがいにそれとなく尊重しあっているのです。

 

 件の釣り師、ぽつねんと一人距離を取って釣ってまいります。釣は己の竿先ばかりを、神経がめいるほど眺めているものではありません。魚は時合いといって、釣れる条件が到来するのを待ちますから、他の人でも釣り上げたら、すわ時合いの到来とばかり集中するのです。ですから回りを怪しくきょろきょろと見渡すのです。決して注意散漫でも、挙動不審でもありません。

 

 「おい、あれ あいつおかしいぞ?」

 「おう、気付いとったか、撒き餌の蓋をいつもしとるなあ」

 「なんか隠しとるなあ・・見られたら都合の悪いもんでも混ぜ込んだか」

 「其の割りには釣らんなあ・・時々蓋をめくって見入っとる」

 

 理解不能な動きをする件釣り師に、俄然興味を持ち始めます。得心が行くまで確かめてまいりますのが釣り師ですから、解明するまで粘着してまいります。

 

 「おいさん、どうかいね 釣れるかい?・・撒き餌は何ね?・・」

 

 「釣れん・・撒き餌は市販の皆さんと一緒だがね・・」

 

蓋は閉じられたままで、おまけに手でしっかり押さえてあります。これではいかん、次は二人で攻め込みます、両脇にしっかり陣取って挟み撃ちです。

 

 「おいさん、どうかいね 釣れるかい?・・どんな撒き餌ね・・見せとくれ」

 

 「撒き餌は市販皆さんと一緒だがね・・」

 

 「ビール飲むかい?」

 

 「酒はやらんのです、有難う」

 

 蓋は閉じられたまま、今度は両手で押さえ込みに入っております。頑として中を見せようとはしないのです。 隠せば隠すほど中を見たくなるのは人の常、ましてや釣り師です、あきらめる訳はありません。

こうなって参りますと釣りどころではありませんから最後の手段強引に事を運ぶしかありません。

 

 トイレに件釣り師が立ったときを見計らって、蓋をこじ開けます。

 

 

「おい・・・・エロ本じゃ・・!」

 

 蓋の中身は確かめられたのだが、意外な組み合わせに釣り師は首を傾げます。

よりによって何もこんな所で・・よっぽと見たかった上に場所が無かったんでしょうなあ、ご苦労なことです。

 

 トイレから帰った「エロ本釣り師」は気づかれているとも知らず又釣りです。

 

他の釣り師といえば何食わぬそ知らぬ顔で、秘密を知った喜びに唇が震えるのです。

 

エロ本釣り師の釣法を「エロ本釣法」とも「桃尻釣法」とも呼ぶようになりました。

 

 この釣法、誰も試してまいる人はおりません。

 

           件の釣り師の独壇場です。