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備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

対岸の火事を釣り場で見ると!

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 釣りといいますと、なにやら穏やかでのんびりとしたものに思われますが、世の中と同じで、時には思っても見ない事件に遭遇するもので御座います。

 

最近では釣りに行く途中、道の真ん中になにやら動くものがある。朝早くで薄暗いなかライトの先に照らし出された得体の知れ無い動くもの、近づいてみると立派なタテガミをしたこれは猪ではないか。

 

 

 得体の知れぬものに遭遇した場合、実態が分かるまでかなりの恐怖感に襲われますな。分かってしまえば対処の仕方なぞ考える余裕も出てまいりまして、おののいた自分はそぶりも見せず、強がってまいります。

 

 最初はねえ、正直申しますが人が跳ねられてうずくまっているのかと思ったのですよ。これは厄介事になるな、やれやれ釣りどころではなくなるなと、未練まで顔を覗かせてまいります。それに傷ついた人など見るに可哀想であろうから、今日はとんだ厄日かと思った事です。

 

 この猪なかなか動いてくれません、「おい、こら!どけ!」 迫力が無いのかどいてはくれません。もう完全に見下して悠然とたたずんでおります。

 

 こうなればクラクションだ! この攻撃にもそ知らぬ顔で動いてはくれません。

 

 

 ライトの点滅でどうだ!  おおお ぶひぶひと威嚇してくるではないか。

 

車をぶつけてやろうかと思ったのだが、発生した損害以下の保障しかしない、頭の固い保険屋を思うとこれは無しだ。

 

 おや?あれはと思った先に、いくつかの影が・・・大きいのと小さいのが・・

 

顛末は一頭の親猪が、家族の道路横断を誘導するのに立ちはだかったのが、このことだった。向かいの芋畑に家族揃って外食に出かける途中出くわしたので御座います。

 

 ここは人間様の道路と言ったところで、あちら様の世界では、所有権はあちら様のものでありましょうから、裁判を起こしてもこれは決着の付かぬ事です。

 

 これなどは田舎では珍しい事ではありませんで、狸・狐・いたちとそれは退屈などしている暇はありません。田舎はこのような事ばかりかといいますと、そこはそれ、珍しい事も起こってまいります。

 

 釣り場ではどちら様も機嫌よく釣などをしております。平和を絵に描いた風情で御座いますが、ふと対岸を見ますと、なにやら煙が立ち上がっております。

 

 しばらくすると救急車が、電子音もけたたましく人を押しのけてやってまいります。それも数台まいったようであります。

 

 しばらくすると警察車両がこれも電子音を響かせながら勇ましくすっ飛んでまいります。これも数台だ。

 

 しばらくすると消防車がうなりを上げてやってまいります。鐘など鳴らしますからにぎやかになんとも華々しくやってまいります。これもあちこちの方角から数台だ。

 

 3本ばかりの道路から火事の現場に殺到してまいりますからかなりの混雑模様、収拾は付いておりません。

 

 こうなりますと誰が釣などしておられましょうか。釣り座から対岸まで1キロはありましょうか、遮るものはなし、絶好の見物場所です。これは完全に対岸の火事だ。

 

 救急車が先だった為消火が出来ず、火の手は益々盛んに煙はもくもくと・・・消防車はあちこちから益々増えて・・・

 

 そこに現れ出でたる海上保安庁の巡視船、堂々の3隻。白波をけたてて颯爽と。

 その上またまたしばらくすると、上空にはヘリコプターが数機バタバタと・・

 

 此れで釣りができるのは、余程の変な神様か仏様しかいらっしゃいません。釣り師などは嬉しそうに成り行きを見守っておりましたが・・・

 

保安庁 おいこら 足元に水があろうが 手ですくえ~」

「飛び込んで現場までいかんかい、それいけ やれいけ」

しばらくすると

「総員甲板に集合せよ!各自自分のホースで一斉放水で消化せよ。繰り返す、総員甲板に集合せよ!」と保安庁に命令を出すやつまで現れる始末。

追い討ちは「水を飲め、どんどん飲め!しっかり放水せんと、消えんぞ!」

 

 けが人は無し。3艘の船が腹立ち紛れの放火で炎上した事だった。戦争のありようを間近で見ることになろうとは、それは迫力があるが少しばかり気味の悪い事でもあった。

 

 釣り師といえばこの日ばかりは、釣った人も釣れなかった人も、にこやかに帰途についたことだ。