備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

盆興業を打つバテレン釣り師

 

 

 さて世間様ではどちら様もお盆と言う事で、ひと息  一区切り、釣り師といたしましても、はや秋のシーズンに手ぐすねを引くと言う事と成って参ります。

さしもの無法者で罰当たりの釣り師といえども、さすがにお盆の間は殺生の事など遠慮をいたすところで御座います。

 

 

 それぞれ有ります世間の中ではそれでも白昼堂々盆興業を打つやからが現れてまいりまして、殺生を繰り広げてまいります。

何でも「わしはクリスチャンだから盆は関係ない」などとほざいておりまして、クリスチャンの癖に実に無慈悲な殺生を繰り返すところで御座います。こんな奴に限ってちゃっかり、葬式はお寺 正月はお宮参りで、わずかばかりの賽銭で大漁を祈願すると言う事になりまして、神や仏のあるものか、無法の限りとはこのことで御座います。

 

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 さて罰当たりの連中と申しますと、これが押しなべて魚をぞんざいに扱ってまいります。ほとんど天からの頂き物 などという意識はほとんど無く、下等なものとして扱うのです。

 

 永年釣りをしておりますと、何処から沸いてきたのか仏心と言うものが沸いてきまして、小さいものは逃がす、締める時は目をタオルで覆う、これぐらいのことはいたしまして、無益な殺生など控えることで御座います。

 

 岡山の人で、釣り場でちょくちょく顔を合わせます。これがまぎれも無くにわかバテレンで御座いまして、かなり傍若にふるまってまいります。およそ数には数えるのが難しい寸法でも数のうち、という事で御座いますからむごい事この上ないのです。

 数人のグループで参りますから、そのグループの一角だけ殺伐とした風向きと言う事で出来る事なら近ずきたくは無いのです。

 

 「盆どうするか・・」

 「餌がおらんでのう・・」

 

 バテレン一派どうやら盆の間に釣りに出かけたいが、釣具屋に餌のエビがいないらしい、おまけに釣り行きの日、釣具屋が休むらしいのです。釣具屋さんといえば年中無休の所が大半なのですが、今年は暑さのせいか、エビは小さいし、刺し餌に成らないため置かぬ所も有って不自由の声はあちこちで聞きます。

 

 浪士様は行きつけの店が有って、それは大小取混ぜ程よい色合わせとなっております。狭い釣場ですからそれでも話などはしてまいりまして、餌なども見てまいります。

「おお、あんたのエビは丁度の具合じゃなあ、何処で売りょうるんかいのう?」

 

 聞かれた事にはそれは親切に教えて上げる浪士様ですが、あまり快くは思っていない一団に誰が教えるか! 探せば分かる事、まあせいぜい探し成され。

 

 「このエビは最近売っとらんでの、 籠で獲るんじゃ」

これを聞いた一団、何やら話しておりますがにやけておりすので手立ての事などみとうしの付いた事でしょう。

 

 「宙釣りの前川」君を頼ってこの一団、エビ獲りの籠を借りに現れます。前川君は自前の獲ったエビの使い手ですからそれは知れている事なのです。

 

 

 「エビは獲れたかどうか・・籠を返しに来たんじゃが、ぼっけえ蚊に刺されとって、一人は蜂に刺されたいいよった。 蚊のあんまりおらん時間でねえとやられるでの・」

 

 前川君あたりに成るとエビ一つ獲るにしても年季が違います。酸いも甘いもそれはわきまえている事でした。 

 

 蚊に刺されて、その上蜂に・・・神よもっと罰を与えたまえ・・・

 

     南無阿弥陀仏  合掌 !

 

 

 

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