備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

名人釣り師のぼうずと素人の大漁

 

 

 さてお立会い! どちらさんも耳の穴カッポじってよく聞きな!

目の程はよ~く擦って目ヤ二なんか付けちゃあいけねえ、3年程目を閉じないで聞いとくれ。

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 世の中に名人上手と言う人は、こりゃあそれぞれ数あるもんでして、その道の上手という事は人並みよりも特段に技量が、それは有る。                その辺の素人やちょっとかじりの半端を驚かす事ぐらい朝飯前で、超人的な事を平気でやってのける。まあその辺の半端に引導を渡すに刃物は入らぬ、芸と技量で滅多切りと言うもんだ。

 

 さてその名人、以前紹介した事のある堂前君という青年だ。凄腕の若手でここいらでは前に出るものがおりません。何がどうあっても遮るものなど無い事です。どう凄腕かと言いますとこれが世間ではこう評されております。

 

「あの男は小学校のプールでチヌを釣る」

ダム湖で鯛を釣る」

 

等と言われまして、おるはずの無いところでもあれだけ根をつめて一所懸命に成ると、それは釣れるだろうということで御座いまして、並み居る釣り師を置き去りにしてまいるのです。

ここまで腕を上げるには、そりゃあ人並みでは御座いませんで、餌という餌、撒き餌という撒き餌全部口にして確かめております。魚の趣向を確かめようと言う事で、何もそこまでと思うのは半端な釣り師と素人ということで御座います。ここまでの努力、違う方面に発揮されたなら大成するには違いないのですが、いかんせん釣りにしか目が向きません。

 

 この名人堂前君が「ぼうず」を喰らって参ります。青天の霹靂、釣場に妙な衝撃が走ります。

どう衝撃的かといいますと、お日様が西から上がるのは当たり前、隣の爺さんが子供を生んだくらいの衝撃なのです。つまりそれほど有るはずが無い事が生じたのですから釣り師など恐れおののく事と成って参ります。

 

「あたりが二・三回 後はからっきし」

そういう堂前君ですが、平然としたものでしてもう次の釣行の手立ては目算など立てております。今日の釣りで手立てや手段を全部出し切れていないところですから、魚など逃げ場が狭められたぐらいの事で、追い詰められたのは名人ではなく魚のほうであることです。

 

 釣場に若い二人連れの若い衆、道具立てから見ますとこれが素人。いかがわしい仕掛けや道具で面白そうに釣っております。名人とは釣り方も対象の魚も違うところですが小物の魚が沢山に釣れてまいります。

釣りを始めたばかりの頃は、小物でも釣れるのはそりゃぁ楽しいものでして御多分に漏れず二人組み夢中に成っております。

いままで防波堤や岸からしか釣った事が無いらしく、魚影の濃い釣場でそれは夢見心地、小物でも数釣れるのですからたまりません。

帰り際に成りますとすっかり大漁に酔って名人気取り、表情など大仕事を成し遂げた満足感で溢れております。姿勢など背中が反り返るのも無理はありません。

 

 この二人来週も現れるに違いありません、神様も罪な事をなさいます、素人をもてあそび、先の不幸とど壷にはまるを用意してささやかな夢を見させるのですから。

 

今日は釣れなかったけれど、しっかり目処の立てられる名人と、今日は釣れたが先の目算などまったく立たない素人・・

 

   はて、どちらが幸せでどちらが不幸なのか 考えるところだ。

 

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