備後「あこう浪士」  釣り場の周辺

  釣り場は釣り師の巻き起こす喜怒哀楽に満ち満ちて・・・  さて 事件は釣り場の周辺で起こってまいります!

猫寄せの術を使う久良さんはマタタビで出来ている

 

 

 

 墓暴きなどとかなり物騒な事でお騒がせしたところです。

片肺の墓暴きの言うところによりますと、猫と申しますのは良く観察しているもので、さすらいの忠兵衛の記事はまさにその通りだろうと言うのである。

 

 猫にしてみれば釣場で釣り師の腕の良し悪しを見極めるのはたやすいことで、かえってそんな能力を退化させた人間のほうがその能力を驚いてしまうと。久良さんは魚は釣らないが、人間がもしそのような能力に立ち返ることが出来たら、釣り師はもっと魚の釣れることに成るだろうと言うのである。

 

 

f:id:akouroushix:20170115172031j:plain

  

 

 はたして人間が観察眼を取り戻すことが出来たらそれは進化したと言う事なのか、それとも原始に帰る退化なのかは定かではないところだが、いずれにしてもいまはその能力からは程遠いところにいる。

 

akouroushix.hatenablog.jp

 

 「わしゃあ猫が寄って来るんで・・・」

 

久良さんは話の途中でこう言い放って 参ります。何事かと事情を聞くに

 

「あるとき知り合いとこう言う話になって、まさか野っぱらの猫が寄ってくるもんかいゆうて信じんのじゃ、そん時誠に都合宜しく猫が二匹おってなあ、こっちいおいでゆうたら一匹がそばに寄って来て腹をさすれと裏返しよ、その内もう一匹は一寸警戒しょったが寄って来てな、遊んでくれと手を出すんじゃ」

 

はい分かった承りました。はいはいそうで御座いますか、そりゃぁ見ず知らずの人に腹あさすれ、遊べなどと親のしつけが行き届かんネコで御座いましょう。あれだけ「しらないひとにはついていかない!」と口をすっぱくしていい聞かせたにも拘らず。よりによって墓暴きのおじさんなどという悪い人に付いて行くなど言語道断、世間知らずも良いとこだい。

 

 

「すると何かい、あんたはいつでも何処でもどのネコとでもそういう間柄に成れるのかい?」

「ああなれる、ネコは好きな人と嫌いな人をきっちり見分けるんじゃ」

「すると何かい、あんたは(マタタビ)で出来とるんかい、それとも先祖が猫かい」

「そがあなこたぁありゃあせん、邪心が有ったらいけんし猫が警戒心を解くには波動を同調せにゃあいけん」

 

 

一寸待て! 聞き捨てならねえ!すると何かい波動とやらを同調させると何の違和感もなくお互い存在するのかい? すぐ仲良く成れるのかい?

 

「ああなれるよ、猫を映す番組が有ろう、あの撮影者も同じで波動が一致せんと、猫が撮影させんのじゃ」

 

一寸待て!まったくもって聞き捨てならねえ!

 

 釣り師といいますのは探しております。なにを探すか この餌なら絶対魚が喜び勇んで食いつくという特効餌をです。生きとし生けるもの好物などが有りますもので、これに掛かりますとわき目も振らずなりふり構わず飛びつくという次第になって参ります。

 

猫寄せの波動とやらを使いますと、釣り師の波動が竿から糸に、瞬く間に糸から餌に、これが何の違和感も無い状態で海中に漂いますと、へへ!何の屈託もなく警戒するまでもなく餌に食いつくという寸法、これほど釣り師にとってありがたいものはありません。

これで釣り師への賞賛は全て我が物に、釣り大会の優勝は他の者など考えられません。その上瀬戸内海の魚は全て我が物に成るのですからこたえられません。

 

とまあ獲らぬ狸の皮算用を都合よくしたのですが、この波動とやらが不可思議千万、一向に理解できない。

それに良く考えてみれば、波動とやらでよしみを通ずる仲の相手をだまし討ちにするような手口、これはいかにも潔が良くない。

 

釣り師なんざぁ痩せても枯れても潔の良さと男っぷりだ、卑怯な真似はできはしません。

 

やはり釣りは敵対関係でないと ・・と・・思うのだが。

 

 

akouroushix.hatenablog.jp